しかしながら、現在主流となっているような、体にフィットするシャープなシルエットのジャケットは、数えるほどしか出てこない。
多いのは、身幅がゆったりととってあり、ときにはダブルブレストでビッグショルダーといったふうに、まるで90年代を想起させるようなシルエットのものだ。
今季のショーではその個性的なジャケットに対し、タイトなパンツを合わせてメリハリをつけたり、逆に太いパンツでルーズな印象にしたりしながら、あえて時代を交錯させたようなスタイルに。
エッジィな存在感を漂わせていく。
その一方で、軽やかなカラーパレットも、春夏らしさを演出するポイントとしてしっかりと機能している。今シーズンの色彩は、20世紀を代表するイギリス人画家、デイヴィッド・ホックニーの作品からインスパイア。
ポッ プアートの先駆者として知られ、キャッチーで晴れやかな作風を発表し続ける彼の世界観は、まるでアコーディオンのようにじゃばら折りにされたトートバッグ に始まり、カラフルなジャケットやパンツ、ソックス、シューズに至るまで、様々な色として現れ、コーディネートを彩っていく。
さらには、生地の上から筆で書いたような白黒のドット、パンツやTシャツに落とし込まれたアリのグラフィックなども、どこかポップアート的な香りを含んでいて、彼の世界観をより強める一因となっていた。
そして最後に、ギラギラとしたロックな雰囲気というものも、外すことのできない重要な要素だろう。
レ ザーやメタリック素材が放つ光沢感、とびきりタイトなパンツ、鋭い印象のサングラス、シャープなトゥのボリューミーなシューズ。こうしたアイテムを合わせ ることで、スタイルに統一感が生まれ、様々な要素が入り混じるコレクションを、ひとつの方向へ導く役割を果たしていた。
モンクレールダウンジャケット
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